松浦弥太郎「居心地のよい旅」

居心地のよい旅 (ちくま文庫)

居心地のよい旅 (ちくま文庫)

最寄り駅を降りて、改札口を出る。いつもの階段、いつもの通り道を歩き、そして駐輪場に行って止めてある自転車を取り出し、ペダルに足をかける。すると、どうしてか分からないけれど「ちょっと海まで走ってみるか」ということになる。線路を越えて、海に向かっていると、水気を多く含んだじめっとした風が吹いてきて、海が近づいてきたことがわかる。防風林の松の木のトンネルを抜けると、そこは海だ。

どこまでも続く空と海。遠くに目をやると、どこまでが空で、どこからが海なのか分からなくなる。手前に目をやると、波が規則的に寄せては返している。気持ちのいい風に吹かれながら、しばらく海沿いを走っていく。サーファー、犬を連れた夫婦、砂浜を駆ける子ども、iPodを手にしたランナー、釣竿を持ったおじさんと、色々な人達が通り過ぎていく。

海沿いにあるスターバックスによって、マンゴーパッションを頼む。外にあるベンチに腰掛けて、熱を冷ます。海沿いの134号線を走る車とバイクとロードバイクが、右から左へ、左から右へと流れていく。しばらくして、立ち上がり、背伸びをし、それから僕は、自転車を漕いで、海沿いを走り続ける。

本の内容とは全く関係ないけれど、僕にとって居心地のよい旅(というより散歩)は、こんなところである。