村上春樹「村上さんのところ」

 

村上さんのところ (新潮文庫)

村上さんのところ (新潮文庫)

 

 

 期間限定で村上春樹が読者の質問に答える、村上さんのところ。この期間限定のサイトが開設された時、僕はまだ学生で、最後の春休みを過ごしていた。ちょうどその頃、1Q84を読んでいて、この村上さんのところに掲載される質問と返事とを交互に読んでいたように記憶している。社会人になる前の不安な春休みは、僕を酷くナーバスにさせていた。不安で、何者でも無い居心地の悪い一日が、また一日、そしてまた一日と過ぎ去っていく。そんなナーバスな僕にとって、この村上さんのところは、ある種の逃げ場の一つだったように思う。読者のくだらない質問と村上春樹の適当な返事を読んでいくと、どうしてか肩の力がふと落ちていくような、そんな感じがした。何かに悩んでいるのは、僕だけではなく、大勢の人が、その人なりの悩みを抱えている。軽い悩みから重い悩みまであって、でもその悩みがどんなものであったとしても、その人にとっては重要な悩みなんだろうな、と。そして、その重要な悩みを、その人なりに解釈し、その人なりに上手くやりながら抱えて生きていている。別に誰かの悩みと僕の悩みを比べるわけではないけれど、「まだまだ、自分の悩みなんてましな方だな。もう少し頑張らないとな」とも、思ったものだった。

 

 この前、ふらっと本屋に寄った際に、新潮社の文庫本コーナーに「村上さんのところ」が置かれているのを見て、なんだか懐かしくなって買ってしまった。電車の中で、息抜きに読むのにもってこいの一冊。

 ちなみに今は、日曜の野球に行くために、別の予定を断ろうかどうか悩んでおります。どうしたらいいのでしょう。