電車に乗るといつも絶望的な気分になる

僕は電車の窓から外を眺めている。
太陽はもう沈みかけていて、最後の最後まで地上に光を届けようと奮闘している。

外は暗くもなく明るくもない。
街頭が点いているところもあれば点いていないところもある。

車と電車が並走している。
運転手は30くらいの女性で、バリバリのキャリアウーマンみたいだ。彼女は商談の時間に遅れるのを恐れているかのように時計にちらちらと目をやっている。

その車は止まり、視界から一瞬にして消えていった。信号が赤だったのだ。さようなら、もう会うことも目にすることもない。赤になれば車は止まり、青になれば車は走る。それだけのことだ。

電車は次の駅を目指して走り続ける。
目の前に女性が座った。
ネイビーのダッフルコートに黒のスキニー、靴はどこのメーカーかわからない真っ黒の奴だ。黒縁の眼鏡をかけていて、突き出た高い鼻に全て乗っかっている。

次の駅に着く。
彼女は立ちあがり、降りる。
さっきまで座っていたその席には、彼女の重い影がずっしりと腰を下ろしている。イスの窪みにはまだ温かさが感じられる。

もう会うこともない。さようなら。
次の駅を目指して、電車は走る。

僕は彼らとの繋がりについて考える。
ほとんどないのだ。たまたま乗った電車に、たまたま彼らが乗って、たまたま目の前の席に座っただけなのだ。

別の電車でもなく、別の車両でもなく、別の席でもない。たまたまそこに乗り合わせただけだ。彼らは何も語らないまま、立ちあがり、降りていく。

外はパラパラと雨が降っている。
小さな雨粒が窓を打ちつけ、コンクリートを黒色に濡らしている。

ああ、絶望的だ。絶望的だ。