午後8時、外はマイナス5℃、40分彷徨う。

午後8時、外はマイナス5℃
バスターミナルから降り、お迎えが来るまでの間しばらく待つ。

しばらく待つ。来ない。

外は雪が吹雪いていて雪が顔面にひっきりなしにぶつかってくる。

近くのスーパーで時間を潰そうと思ったのだが、どこもやっていない。僕の近所は10時までやってるのに…カルチャーショック。それにしても寒い。雪が体の体温を奪っていく。風だ。風を肌に当ててはならぬ。モッズコートを上まで閉め、フードを被る。

待っても来る気配は無いので、体を冷やさないために歩く。歩いてれば体は温まるはずだ。タクシーの運転手が声をかけてくる。

「お前、何してんだ?」
「え、いや、お迎え待ってます」
「死ぬぞ。近くにセイコーマートがあるから、そこ行け」と言われる。

雪道を10分歩いたところにあったセイコーマートで時間を潰す。

ん?
24時閉店、6時開店と書かれている。
これまたカルチャーショック。
都会なら24時間やっている。
そもそも、ニーズがこの町には無いのだろう、と思う。

僕はウィスキーの棚をじっと眺める。僕は一瞬目を疑う。

マッカラン12年が置いてある。
なぜなのだ?なぜこんなど田舎のコンビニにマッカランが置いてあるのだ??

ざっと見ただけで15種類ほどのウィスキーが並んでいた。どれも美味しそうだ。これを飲めば体は温まるはずだ。コーク割が飲みたい、いや、ソーダ割も良いな。

想像する。
このままお迎えが来ず、セイコーマートも閉まって外に放り出された場合、僕はどうなってしまうのだろうと。ウィスキーを片手にその辺で酔っ払い凍死。凍死。凍死。

凍死という縁遠い言葉が妙に現実味を帯びてくる。これは覚悟しなくてはならない。携帯の電池が4%になる。

連絡が取れなくなったら僕はどこにいれば良いのだ??

バスターミナルに戻る。
バスターミナルが閉まってる。
少しあちこち歩き回ってみる。

セイコーマートに戻る途中でタクシーの運転手にまた会う。

「乗って行く?」
「いや、お迎えが来ます」と言う。

電話がかかってくる。
「いまどこにいるんだ?」
「ここどこかわからないんですが…セイコーマートがあってバスターミナルがあってサイジョウがあって、なんだかよく分かりません。」
「バスターミナル集合」

携帯の充電が切れる。
どっちが東なのか西なのか南なのか北なのか分からなくなる。

参った。自動販売機であたたかいコーヒーを買い腹の中に詰め込む。

「おーい」と遠くから声が聞こえて、前に車が止まった。

「助かりました。いやぁ、死ぬかと思いました」
「これが北海道の冬の厳しささ。これも味合わければな」ハッハッハッハッハと笑う。

やれやれ、やれやれ、助かった。
こんなのもう二度と経験したくない。