物事は、自分とは関係のないところで動く。不条理で、暴力的で、とても乱暴に。誰かがドアをノックするたびに、新しい問題がその人の心を支配する。

ふと、町を歩いていて、思ったこと。

たぶん、カズオ・イシグロの「充たされざるもの」を読んでいるせい。

この本の主人公のピアニストは、ヨーロッパのある町で「木曜の夕べ」を演奏することになっている。だが、彼には詳細のスケジュールは渡されていない。そわそわした市民の裏には、彼に対して寄せる大きな期待がある。現代に取り残された古い町を立て直すためには、彼の演奏がとても重要な位置を占めていたのだ。色々な人から、色々な問題を持ち込まれ、それにどう対処していけば良いのかと主人公は考える。家庭の問題。街の問題。市民の問題。その中には、深刻な問題もあれば、些細な問題もある。いずれにせよ、その問題がどうのような質のものであっても、その人にとっては深刻な問題である。たとえそれが、他の人から見て些細な問題であったとしても。

充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)

充たされざる者 (ハヤカワepi文庫)