彼女は今頃…

空港というのは、実に色々な人たちで溢れかえっている。特に目を引いたのは中国人観光客だ。おそらくツアーの参加者だったのだろうが、20人、30人の中国人が集まってワイワイやっている。こちら側がアウェーと感じてしまうほどである。

 
今日は、ある友人がアメリカへと旅立つというので送り迎えをしたのだった(迎えてはいないか…送り出したのか)。飛行機は、かのマレーシア航空。ニュースでも散々取り上げられているが、クアラルンプール発北京行の飛行機の消息が絶ったのはよく知っている。
 
搭乗手続きのちょっと前に「まあ、そんなにしょっちゅう飛行機が墜落するわけじゃないんだし、特に深く考えなくて大丈夫だよ。」と言ったものの、内心、ちょっと心配であった。無事に着くといいのだけれども。でもまあ、その友達は一人でアフリカだの南米だの飛び回っているから、余計なお世話かもしれないな。僕より遥かに旅になれているわけだし。
 
友人と会うのを待っている間、僕は展望デッキで時間を潰していた。Japan Airlineと書かれた飛行機が整然と並んでいて、今か今かと飛ぶのを待っている。
 
飛行機が飛んだり、降りたりしているのを眺めながら「ああ、僕もこのまま飛行機に乗ってどこかに飛んでしまいたい」とずっと思っていた。どうしても日本にいると、やらなくちゃいけないことに振り回されてしまって窮屈に感じることが多い。色々とあるよね、決まり事って。そんな事を考えながら、ちょっと、友人のことを羨まく感じた。
 
そう、そう。僕が仲良くしている友人のほとんどが海外に行ってしまってる。一人はロサンゼルスに、一人はシアトルに、一人はオーストラリアに、といった具合だ。
 
僕もどこかへ飛んでしまおうかと計画中である。確定してないので、何も言えないけれども…。とにかく、展望デッキで空港の彼方に沈もうとしている夕日を見ながら色々と考えていたのだ。色々ね。色々と。
 
今日は僕以外にも5人友人が来た。どれも大学の友人達である。僕たちはスターバックスに行って、抹茶ラテだのマンゴーなんちゃらだのを頼んでワイワイやった。ワイワイというとなんかうるさく聞こえるかもしれないから、上品にワイワイやった。
 
僕たちが国際線の、国際色溢れる場所で持ち込んだのはローカルな話題だった。ローカルにしか通じないような話や、ローカルにしか分からないネタなどを各々が持ち込んで彼女と話したわけだ。ふと、こういうのって良いなって思った。この感じは、言葉ではちょっと表現出来ない。
 
海外に旅行に行った時に、ふとお米と味噌汁と醤油が恋しくなるような感じかもしれない。空港という場所で、ローカルなものを持ち込むことによって、「ああ、僕たちはどこにいてもいつも通りだなぁ」という安心感のようなものかもしれない。やっぱり上手く表現出来ないや。
 

 

 

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

 

 

 

 
 
 
みんなで写真を撮り、手紙とお土産を渡して、彼女を送り出した。僕は飛行機の中はさぞかし退屈だろうと思って「わたしを離さないで」という小説をプレゼントした。「Never let me go」の英語の方を渡そうと思ったんだけど、海外にいたらお米とか醤油がふと恋しくなるように、日本語が恋しくなるかもしれないと思って渡した(考え過ぎですね。だから、僕はヘンテコなんです)。楽しく読んで貰えたら、と思います。
 
もう飛んでからだいぶ時間が経って落ち着いた頃だろうし、今頃、彼女は飛行機の中でみんなの手紙を読んでメソメソ泣いてるかもしれないな(笑)あるいは寝てるかもかな。
 
まあ、お元気で!
 
(僕はついに電車の中で悲しくなって『Ludwig van Beethoven ● Piano Trio No. 7 Op. 97 Archduke Trio, part 1 Allegro moderato - YouTubeを聴いて帰りました)。村上春樹、音楽とググって出てきた奴です。完全なるミーハーです。