Father said that Someday, you'll understand. However, Someday never comes.

「祖母が亡くなった」というメールを受け取った時、僕は大学の図書館にいた。

大学の図書館で、哲学の授業の発表準備を友達としていた時だった。

たった一行の文章で、これほどまで人間の自我を揺さぶるものはなかった。

なにが起こったのか、これから何をすれば良いのか、色々なことがぐるぐると頭の中を回った。しかも、遠く離れていたこともあって僕は人間の死というものを実感することは出来なかった。

 

葬式会場に着き、僕は布団に包まれた祖母と対面した。親戚の1人が被せてあった白いハンカチを取り「綺麗でしょう。」と言った。僕もそう思った。祖母はいまにも起き上がって、何かを語りそうだった。隣に祖父がいて、祖母の顔を悲しげに見ていた。

「良かったなぁ。みんなお前のために集まってくれて。」と祖父は祖母に語りかけていた。その言葉は間接的に僕の心に届き、涙が出そうになった。

 

僕は静かに線香を焚いた。

その晩は、僕と両親は式場にある安息所のようなところに泊まった。僕のベッドからは祖母の姿が見えた。祖母のいる部屋は寒々としていて、別の空間のようにも思えた。こちら側が生の世界で、あちら側が死の世界であるかのように。祖父はずっと起きていた。絶えず線香の火が切れないように、寝ては起き線香を焚いた。そうする以外に、悲しみを紛らわす術を知らないかのようだった。僕は祖父の姿をずっと見ていた。そのひた向きさに、僕の心は暗く沈んでいった。

 

お通夜と葬式が終わり、祖母の棺桶にはたくさんの花が添えられた。

祖母の棺は、暗い井戸の底のような場所に入れられ、焼かれて骨になった。

骨になった祖母の姿を祖父は眺める。納骨の際、祖父は祖母の大腿骨に目を留めてこういった。「こんな重たいボルトが入ってたなんて、よう頑張ったなあ」と。

 

次の日、僕は自分の家に戻った。僕には僕のやるべきことがあったからだ。両親には両親のやるべきことがあったので、一週間ばかり実家に泊まることになった。1人、自分の部屋であれこれと考えを巡らせた。あらゆる事について、あらゆることを想像した。もし、両親が亡くなったら僕はどうなってしまうのだろうか?と。この問いがいつまでも頭から離れることはなかった。

 

「僕はきっとどこにも属さなくなる。世界中のどこを探しても両親は存在しなくなり、僕は孤独になる。人生というのは孤独のレッスンのようなものなのかもしれない。1人、また1人と親しい人が亡くなるにつれて、ますます孤独になっていく。父と母が亡くなった時、僕はきっとこう思うはずだ。『次は僕の番だぞ』って。」

 

両親が戻って来た。父は一回りも二回りも小さくなっているように思えた。

その日の晩、一つのテーブルを囲い、家族で食事を取った。思えば家族揃って食事を取るのは久しいことだった。黙々と目の前に並べられた料理を食べた。

 

父が一つ大きなため息を吐いて、横になり、静かに眠った。

父がますます弱くなっているように見えた。出来れば父にはずっと元気でいて貰いたいと思う。でも、そんな日がいつか無くなるのだろうと思うと悲しさと虚しさと寂しさが同居しているような、そんな感情を抱いたのだった。

 

Fathet said that Someday, you'll understand. However, i know that somday never comes.

When someday come, it means that father is dead.