「考える人」という雑誌が好きで、いつも本屋に行っては立ち読みしていました。本当は買ってバックナンバーも集めたいんだけど、「雑誌に1500円はちょっと高いよなぁ…」と敬遠していました。しかし、今月号はなんと児童文学特集ということで、買ってしまいました。近くのカフェに行ってですね、ページを開くと文学的好奇心をそそる記事ばかりで、もう半分も読み終わりました。残りは明日のお楽しみということで。
特集で組まれていたのは、表紙の画像にもあるようにトーべ・ヤンソンや角野栄子、石井桃子、谷川俊太郎、そして今話題の村岡花子についてでした。どれも面白く読めました。
(1)
トーべ・ヤンソンはムーミンの作者です。僕はムーミンをそこまで見たり読んだりはしてないんだけど、「ミー」と「スナフキン」がとても好きです。ミーは、物事を的確に突く言葉に惹かれます。それがたまらないんですよね。的確過ぎて、何も言い返せない。セリフを読むと胸の奥を抉られたような感じがします。ミーを作り出したトーべ・ヤンソンの人間に対する深い洞察があったからこそ、このキャラクターは生まれたのだろうと思います。そして、孤独を愛するスナフキン。スナフキンの人間の距離の置き方が僕はとても好きです。彼はあちこち旅をして孤独を愛しているわけですが、結局、ムーミン谷に戻ってくる。孤独と共存(孤独の反対語が思い浮かびませんでした)のバランスが上手い。みんなとワイワイ仲良くやるのも楽しいけれど、でも1人の時間も大切にしたい。そんなスナフキンの姿勢が好きですし、共感が持てます。
(2)
角野栄子は「魔女の宅急便」の作者。写真を見るととても洒落た印象を受けました。彼女がインタビューで良いことを言っていました。
子どもの文学は一人一人の心に不思議の種をそっと置いていくものだと思っています。
彼女は児童文学をこのように捉えているのだなぁと。角野栄子の作品って、どこか異国風な印象を受けます。海外の作品を日本語に訳したんじゃないの?と思えるほどです。ちなみに宮崎駿は児童文学を「人生のやり直しのきく文学。この世に生まれてきて良かったんだと、そう思えるのが児童文学」と本へのとびら――岩波少年文庫を語る (岩波新書)の中で言っていました。こちらも、ウンウンそうだよな、と相槌を打ちながら読んだのを覚えています。
(3)
石井桃子については、全く知りませんでした。どうやら彼女は執筆、翻訳、編集と多彩な活躍をしたようです。
(4)
村岡花子の記事で興味を引いたのが、「戦時中、敵国語禁止という時代のなか赤毛のアンの原著を読み、翻訳をしていた。戦火の中でも必死に原稿守り抜いた。」というところ。彼女のなんとしてもこの本を世に伝えなければ、という思いに胸を打たれました。どうしてそこまでして、世に伝えたかったのだろう?その疑問は、雑誌に詳しく書かれています。彼女はどうやら女性参政権運動にも参加していたようです。自分の信念に生きた人間だったんですね。
以上、僕が読んだ感想です。
最後に一言なんですが、僕は読むべき時期に読むべき本を読まなかったことにとても後悔しています。10歳の時にトムソーヤーの冒険やハックルベリーフィンや長くつ下のピッピやあしながおじさんなど、色々な本を読んでおけば良かったなぁと思いました。いま読むのと、子どもの頃に読むのとではまた違った読み方、感じ方があっただろうに。考え方・感じ方の変遷を楽しむのも読書の楽しみの一つなのだと思いました。もう、時間は戻ってこないですからね…嘆いていたってしょうがないんでしょうけども…。
おすすめされていた児童書を一冊。
時間どろぼうに盗まれた人々の時間を、不思議な力を持つ主人公のモモが取り戻すというお話。読もうと思って読めていないけど、こんどページを開いてみようと思います。
終わり。