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雑文、今日一日、どんより曇り空。

外はどんより曇っていて、ぽつぽつと雨が降っていた。窓からそんな景色をしばらく眺めていて<いやだなぁ、こんな日は>と少し思った。

昼過ぎに三毛猫が通りを悠々と歩いていた。僕は窓をトントンと叩いて、猫をこっちに振り向かせようとした。トントン。でも、猫はそのまま行ってしまった。

コーヒーをゆっくり、丁寧に飲んだ。コーヒーの暴力的な苦さが舌に広がって、こめかみがなんだか痛くなった。

僕は読みかけの本を手にとって、ページをめくる。

「日本人は、悲しみや苦しみやそういったものを集団で受け止めるような部分があるようです。そのせいか、個人が全てを引き受けることはあまりなく、PTSDという症状も出にくい。どっちが良いかわからないのですよ、結局。個人で全てを引き受けるか、集団で受け止めるかの違いなんですけどね」

と、河合隼雄が言ってる。ふむふむと思って次に読み進める。

「夫婦というのは、井戸掘りのようなものです。これほど苦しいことはない。相手の欠点を受け入れないといけないですからね。それと同時に楽しいものでもあると思うんですけれども。」

ふむふむ。

箱庭療法をやっておりますけども、これは凄いですよ。その人がどんな物語を生きてきたのかが分かる。でも、これは完全な創りものだなって思うのはあまり魅力がない。生の生々しさがあるもの。それはとても魅力的です。時々、しんどい思いもするのですが…。でね、僕が思うのは、生きるためには、人それぞれ自分の物語を持ち、自分で物語を作っていかなければならないことです。安易な物語に吸い込まれてはいけません(オウムの件について)。」

ナルホド、コーヒー二杯目おかわり。

5時頃、カナブンが窓ガラスに激しくぶつかって地面に落ちて行った。それも3回も。さすがに昆虫だって、3回やれば諦める。重要なのは、潮の引き際を見極めること。
 
僕はドアを開ける、オン。

6時頃、一階からニュースキャスターの声が聞こえてくる。三杯目のコーヒーをおかわり。

JR北海道は…今朝の脱線事故を受けて…原因の調査を開始…いまだ運転再開のめどは立っていな…。都議会議員の差別発言について、欧米メディアが非難…まだ…その発言者は…分かって…」

声が聞こえてくる。我が家の辛口コメンテーターだ。

「これは酷いよー。男尊女卑がまだ根強くあるんじゃないの。彼女も本人の名前を出したら潰されるのわかってるから言わないんだよ。いつまで女性は我慢を強いられるのかしら、ね?」

僕はドアを閉める、オフ。
僕はドアを開ける、オン。

「ワールドカップ日本代表は、本日の予定を急遽変更し、メンバーに休日を…もよう…。」

僕はドアを閉める、オフ。

本棚から二冊目の本を取り出して読む、オン。

「私は彼を愛していなかった。私は彼が私に与えた快楽を愛していた」

僕は本を閉じる、オフ。
僕は眠りたい。

白い家

そこには崖すれすれに建てられた白い家がある。灯台のような屹然たる白い家だ。テラスと肘かけイスとテーブルがあって、空のビール瓶とワイン瓶が転がっている。風が吹けば、3日前の日焼けした新聞や広告がカサカサと音を立てて柱にひっかかる。イスに腰かけると、そこから岩に囲まれた入江が見渡せる。暴力的な波が岩を削る。海の向こうから大きな島が押し寄せてくる。じわじわ、じわじわと、砲弾をこちらに向けて、その時を待っている。これから、戦争が始まる。男は武器を持ち、海に向かって三発打ち込む。が、それも無力。

「最後の一発は彼女のために残しておくもんさ」

病院

医者「早くこの薬を患者に飲ませて、静かな夢を見させてあげなさい」
看護婦が泣き出す。
医者「そうでもしなければ、彼らは苦痛を伴う死を迎えることになります。これは、私にとっても辛いことですが、最良の手段なのです。目的は彼らをいかなる苦痛から守り抜くことです。彼らは自分の足で立つことも歩くこともできません。でも、意識ははっきりしています。最後の最後で、彼らは極度の緊張を強いられることになるのです。お願いですから、もう泣くのはよしてください。私の心が折れるまえに」

学校

先生「こんなことを言うと、私は職を失うことになると分かっています。ですが、あれは悪です。絶対的な悪です。暴力は何も生み出しません。ただ目の前の平和が破壊されるだけです。いったい誰が始めたのでしょうか。私にはよおく分かっています。彼らが退屈だからです。だから、戦争をするのです。良いですか、平和には忍耐力が必要です。平和は、素朴です。平和は、退屈でもあります。平和は、一杯のスープとパンに始まり、砂で終わるのです。」

公園

老人「いかなる大義も正義もないというのに。」

図書館

司書「早く、一冊でも多くの書物を地下に運んでください。戦火からこれらの書物を、偉大な人類の記憶を守るのです。」

白い家

女「どうして、二発分残しておかなかったの?」

病院

患者「今回のおくすりは、私には強いのかもしれません。なんだか眠くなってきました」

看護婦「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませんから」

OFF

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)

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悲しみよこんにちは (新潮文庫)

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