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オイストラフ・トリオを聴いてあれこれ想像する。


Oistrach-Trio "Piano Trio no. 7" Beethoven (1 ...

 

海辺のカフカ」で紹介されていた曲です。僕は小説内で紹介されている音楽や小説を逐一メモしている.....というわけではありません(笑)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

 

村上春樹 音楽大全集 - 村上春樹 音楽大全集というこれまた便利なサイトがあって、ここからリンクに飛んで聞いています。僕はクラシックの知識もジャズの知識も全く持っていないので、こういった初心者でもとっつきやすいサイトはとても有難いです。

海辺のカフカの下巻で、星野くんというトラック運転手の青年がいるんですが、彼がカフェに入ってコーヒーを飲んでいるとこの音楽が流れてくるんですね。で、クラシック音楽が好きな店主が登場して、青年と音楽についての話をするんです。

「中にはもう少し構築的で古典的で剛直な『大公トリオ』を好む方もおられます。たとえばオイストラフ・トリオとか」

~中略~

「太鼓トリオ?」

「いいえ、太鼓トリオではなく、大公トリオです。この曲はベートヴェンによってオーストリアのルドルフ大公に捧げられました。それで、正式につけられた名前というのではないのですが、俗に『大公トリオ』という名前で呼ばれております。」

 こんな具合に。さらっとこういうのが書かれていて、ファンはメモをするんでしょうね、たぶん....(僕はそこまでできない、本はたまにメモするけど)。

 

で、この曲を初めて聴いた時にじわじわと胸に染み入ってくるものがなんとも言えなくて好きになりました。この曲を聴いていると、色々な情景が浮かんでは消えていくんですよね。小学生の頃によく遊んだ海とか神社とか、そういったもの。

もう一つ「晩年」という感じもします。80歳くらいの老人が、部屋の隅の椅子に腰を下ろし、窓の外を眺めている。夕暮れ時で、太陽がいっさいを橙色に染めているんです。その老人には、少年時代だった頃の自分の姿が見えているんです。少年の影が芝生の周りを飛び回り、父と母がその後ろで微笑みながら見守っている。その影も太陽が沈むとともに消えていきます。そして、老人は眼鏡を外して、目をこすり、額に指を当て、唇を噛み、静かにこう思うんです。「俺は幸福だった」と。

妄想です

もちろん個人的な感想です。ただ聴いていて、そのような場面を想像したり、あるいは自分について省察してみたり。どうしても過去を振り返らずにはいられない一曲です。あれこれ言ってしまいましたが、ただただ素晴らしい。