悪を成すことを認識せずに悪を成すことについて

高校の友人のキャバクラと風俗通いが発覚し、ショックを受けた。多少なりとも性格に難があっても、トンがっていようと、ネガティブであろうと、そんなのは構わない。ただ、その境界だけは越えて欲しくなかった。僕にとってその二つは、性奴隷をお金で買ってるという認識しかないからだ。それら二つは貧困層の職業である。貧乏は職業を選べないのだ。だから、中には好きで働いているという方もおられるだろうけど、そのほとんどが仕方なくその職業を選択しているのである。そのことを思うと胸が締め付けられたようになる。僕はお金持ちではないし、政治家でもないし、気概を持ってるわけでもないから何も出来ない。ただ、彼女らに同情し、胸を痛め、心の中で血を流すだけである。これらに代わる職業が他に存在していれば良いのだけれども。

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書)

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所 (ちくま新書)

この本には、生活上やむを得ず風俗で働かなくてはならない女の子について書かれていた。著者の青砥さんとは直接お会いして話をしたこともあるのだが、心から胸を痛めてらした。

「風俗で働くのやめなよ」と私は言いたい。でも、それを言って辞めたとしたら「彼女が生活出来なくなるのはわかってる」だから「私は、それを彼女に直接言うことは出来ない」と話していた。つまり、風俗で生計を一度立ててしまうと、それ以外の選択が出来にくくなるのである。なぜなら、風俗ほど手っ取り早くお金が入る職業はないのだから。僕もこのことについて深く考えさせられた。どうすれば良いのだろう?僕はまだ答えが見出せなでいる。

菊と刀 (光文社古典新訳文庫)

菊と刀 (光文社古典新訳文庫)

橋下徹が「米軍はもっと風俗を利用しろ」と発言していましたが、アメリカの認識は風俗=生奴隷というものであった。あのアメリカでさえ風俗が絶対悪であるという認識と倫理観を持っているのである。では、日本の場合はどうなのだろう。最初にピンときたのが「菊と刀」だった。

「日本人には、キリスト教圏のような普遍的な絶対善と絶対悪という二つの倫理観は存在しない」

このことがまず浮かんだ。キリスト教圏では、悪を成す時、その個人が悪を成しているということを認識した上で、悪を成すのである。つまり、悪いことであると分かって悪いことをするのである。なぜなら、何が絶対悪で、何が絶対善であるか聖書に書かれているし、そのような倫理観は信者なら持っているはずだからである。悪を成すとき、神に対する後ろめたさ、罪悪感が伴うはずであるからである。

日本の場合はどうか。日本人の倫理観は集団の倫理(あるいは論理)である。つまり、共同体の中におけるルールが個人の倫理観となる。Aの共同体にいる個人は、Aの共同体のルール及び論理と倫理の中で生きる。そして、その個人がAの共同体からBの共同体に移動する時、Bの共同体のルールや論理や倫理を身につけなければならない。キリスト教圏のような普遍的な絶対善や悪は存在しない。共同体によって異なる善や悪の倫理観の中で生きるのが日本人である、と。

で、僕はその風俗に通ってる友人(もはや他人)は、おそらく自分が「悪いことをしている」という認識は持っていない。むしろ、その友人の属する共同体(グループ)では、ということである。はたまた、「風俗は絶対悪だ」というグループに彼がいたなら、悪いことだと認識したかもしれない。が、そのような共同体がこの日本社会に存在しているのかさえ怪しい。第一に、政治家が公の場であの発言をしているからであり、周りにも「風俗に行ってみたい」という人がいるからであり、そのことについて「なんら罪悪感さえも抱いていない」からである。

どうだろう?

悪を成しているという認識がない状態で悪を成すことが、どれほど危険であるかを考えた方が良いと僕は思うのだが。共同体の中だけでは、その中のルールや論理や倫理に従って行動すれば弾劾されることはない。しかし、いったんその枠を飛び越えてしまえば、その共同体のルールは通用しなくなる。さあ、困った。普遍的な絶対善や悪がない日本では、そもそも何が善で何が悪かなんてことを明確に認識していないし、分けて考えることもしていない。そのせいで「ちょっと風俗にでも行ってみようか」なんて発言が会話の中で出てくるのだし「東南アジアの風俗は安いみたいだぜ」と自ら性奴隷を買うことを公言してしまう。 「性奴隷」という言葉に違和感を抱いているのなら、まだ認識が甘い。甘過ぎる。とにかく、僕が言いたいのは、日本人に倫理観はないということである。

文体が変わってしまった。それだけ憤っています、はい。

日本の思想 (岩波新書)

日本の思想 (岩波新書)

グッドバイ、僕の前から消えてくれ。

ついでにタイでデリヘルを頼んだお前も、消えてさっさとくたばっちまえ。

売春旅行に出かける日本人もみんなくたばっちまえ。