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暇を潰すのにも才能がいる

「暇を潰すのも才能がいる」というのを村上春樹が言っていて「確かにそうかもしれないな」と思った。講義もないし、アルバイトは辞めてしまったし、友人もあまりいない。あまりいないとっても、週に一度、草野球をするくらいの友人はいる。だけど、平日は会ったりはしない。みんなそれぞれが、それぞれの時間の中で生活を送っている。とにかく、今日も暇だった。

「暇を潰すのも才能がいる」というフレーズを心の中で何度も繰り返しながら、はて、僕は何をすれば良いんだろうと思う。

なんだか妙なことなのだが、急にパチンコに行ってみたくなった。これまでギャンブルというものに手を出したことがない僕は、「ここはひとつ、行ってみようかな」なんて思いが意識の海面から浮かびあがってきた。ネットで、「パチンコ 遊び方」と検索して遊び方を学んでから、近くのパチンコ屋に入った。「遊パチで1000円出資すれば、まあそれなりに時間は潰せるだろう」と思ったのだ。だけど、僕はパチンコはしなかった。入口の自動ドアが開いた瞬間、爆音が耳にギンギン響いて、歩くたびに床はグラグラし始め、天井はいまにも崩れ落ちそうだった。一通り台を眺め歩いた後、「やっぱり僕にはできないな」と思って外にでた。

「暇を潰すのにも才能がいる」と唱えながら、ブックオフに入る。結局、いつも通り本屋に行って108円の古本を買った。「まだ、読んでない本が家にあるんだけどな…」という気持ちと「でもこの本は価値のある本だから、きっとすぐに売れちゃうだろうな」という葛藤が起こる。たかたが108円の本なのに。

余談だけど、レアな本が置いてあったりすると嬉しい。例えば、村上春樹『空飛び猫』の単行本(初版!)だったり、『風の歌を聴け』の帯付き、単行本だったり、そんなものだ。で、その時は買おうか買わないか散々迷った挙句、何も買わずに帰る。そして、湯船に浸かっているときにふと「あの時、あの本買っておけばよかったかなぁ」なんて後悔する。次の日に行くと、もうそこにお目当ての本はない。どこにもない。そんなことが僕の場合、よく起こる。

ブックオフに行って柴田元幸(訳)『トムソーヤの冒険』を買って帰る。『トムソーヤの冒険』は、岩波少年文庫のが僕は好きだ。なぜなら「石井桃子さんが選び翻訳したんだから間違いない」からだ。翻訳本は、翻訳者のヴォイスに違いがあって楽しい。

トム・ソーヤーの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)

トム・ソーヤーの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

トムソーヤ(ベトナム料理みたいだ)を買い、次に有隣堂に行く。そこで僕は本多勝一の『日本語の作文技術』という本を買う。これで作文技術が向上すれば良いけれども。「文章力は才能だ」と村上春樹は言っておられるので「僕は間違いなく才能ないよな」と思う。

日本語の作文技術 (朝日文庫)

日本語の作文技術 (朝日文庫)

もう帰ろうと思った。でも、ちくま文庫の杏のポップが目にとまる。特に杏のファンというわけでもないが「野球をやっていた」とエッセイに書いてあって「えっ、杏って野球やってたの??バントに失敗して小指が曲がってるだって??」と、今までの杏のイメージがガラガラと崩れていく。いつの間にか『杏のふむふむ』の会計を済ませていた。ちなみに、僕の左手の親指には鉛筆の芯が刺さったままです。小学生の頃は、芯がズルズル体内に入り込み、血液の中を通って、心臓を突き刺して多量出血で死ぬんじゃないかと本気で心配していた。そんなことはなく今に至るわけだが。

杏のふむふむ (ちくま文庫)

杏のふむふむ (ちくま文庫)

通りを自転車で漕いでいると、古本屋を見つける。「こんなところに古本屋があったんだ」と思い入ると、岩波文庫の本がずらーっと並んでおり『モンテクリスト伯』や『三銃士』やとにかく買いたかった本が安く売っていて驚いた。お金がなかったので諦め、川端康成の『山の音』を100円で手に入れて帰った。しかも箱本。しかも『山の音』はノルウェーだかどっかの世界文学100選に入ってる。読まないなんて、もったいないよね。

山の音 (新潮文庫)

山の音 (新潮文庫)

その後、図書館に行く。そこで新たな発見に気づく。「ええええ、ドアーズ、トーキングヘッズ、ベック、ザ・フージミ・ヘンドリックス、ディープパープル、CCRにストーンローゼス、ザ・スミスなんでもあるじゃん!」と驚く。早速、図書館のカードを提示して、ドアーズのアルバム4つとCCRのベスト盤を借りて帰ってきた。CCRの「Lookin' Out My Back Door」は聞いていて楽しくなってくる。ドクドクドクドクドクドクドクドクドク。


Creedence Clearwater Revival - Lookin' Out My ...


これからも、暇つぶしの達人を目指そう。

☆☆☆

こうやって一日を振り返ってみると「なかなか暇を潰しながらも新しいことに気づき、楽しんでるじゃないか」と思えた。

☆☆☆

イスラム国に拘束された邦人のニュースを見て驚いてしまった。早くお金を払って二人を解放させてあげてほしい。暇潰し、なんてことを書いている自分を責めたくなるニュースだった。