読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

鎌倉をぷらぷら散歩する

旅行記

大学の友人から連絡が来て「東京方面に行くんだけど会えるか?」とのことだったので、会った。彼はいま名古屋に住んでいて、船で横浜まで行き、2日程ぷらぷらしたあと、北海道に行くとのことだった。

彼とは3年間、大学の同じゼミに所属していた。あちこち旅をするのが好きで、この前はトルコに行ったそうだ。ゼミの合宿で長崎、韓国、ベトナムに行き、その際、彼と相部屋だった。長崎に行った時は、夜の出島ワーフ(稲佐山の夜景が綺麗なところだ)をぷらぷらし、優しい潮風に当たりながらビールを飲んだ。ベトナムに行った時は、なんだかわけの分からない料理を食べたり、深夜徘徊したりもした。

まあそんなこんなの仲なんだけど、今回は鎌倉に行った。半年振りくらいに会ったので色々と話すことはあった。彼はどうやらアルバイトで貯めたお金で島根から韓国に行き、中国大陸を駆け抜け、ロシアに入国。その後、シベリア鉄道かヒッチハイクか何かで欧州に渡るそうだ。楽しそうだった。

しかし、彼は少し変わってるところがある。一週間お風呂に入ってなかったり、穴だらけの洋服を着てたり、所持金が無いのに放浪したり、言ってみれば浮浪者のようなものだ。どうやら彼は僕と別れた後、野宿したみたいだ。

久しぶりに彼と会った時、両手には「鎌倉まで」と書かれたダンボールを持っていた。「ヒッチハイクで来たのか?」と聞けば「そうだ」と彼は答えた。

まあ、そんな奴だ。お金は持って無い。当然、社会人の僕が幾らか飯代くらいはおごってやることにした。その代わり、「ロシアでマトリョーシカか、プーチン大統領が熊にまたがってるフィギュアを探しだして買ってきてくれ」と頼んだ。安い交換条件だ。

僕と彼はまず鎌倉駅西口にある腸詰屋で、湘南ビールを飲んだ。とても暑い日だったので、ピルスナーを頼んだ。そのあと、商店街をぷらぷら歩いて、ナスの一本漬けを買って食べた(店の名前は忘れてしまったんだけど、すごく美味いそして、いつも売り切れてる)。

写真が欠けてて申し訳ないんだけど、「山里」という店に入ってご飯を食べた。薄味で、僕は結構好きだ。1100円くらい。

その後、鶴岡八幡宮の中を歩いた。太陽の光が暖かくて、なんだか一周回って落ち込んだ。

木々の間から太陽の光が柱となって落ちて、歩くたびにちらちらと光る。江ノ電に乗って鎌倉高校前で止まり、またぷらぷらと歩いた。彼と色々と話していたけれど、結局、記憶に残ったのは彼の女友だちの一人が、「とてつもなく変態で、アクロバッティクかつディープなセックスを楽しんでる」ということだけだ。わざわざ名古屋から東京まで出てきてくれたのに、こんな話しか覚えていないのだ。全く僕の思考回路はどうなってるんだろう?

日が落ちて、空は橙色と深い青と夜の闇の入り混じった風景を見せ始める。江の島が綺麗だったので写真を撮った。こうやってみると、なんだか大きなクジラみたいだな、と思う。

僕と彼は落ちゆく太陽を眺めながらコンビニの前にあった木のベンチに座ってタバコを吸って話をした。そういえば、その時に彼から伊豆大島のお土産を貰った。なんの話をしたのか忘れた。

次の日、僕は仕事だったので「それじゃあ、また3年後くらいに会おう。そのくらいロシアか欧州にいるんだろう?」と言うと「そのうち帰ってくるさ」と答え別れた。僕が後ろを振り返ると、彼がきちんとした足取りで夜の雑踏の中を黙々と歩いていくのが見えた。僕は彼が視界から消えてしまうまでずっと見ていた。やがて、彼は道を左に曲がり姿を消してしまった。

終わり。