暗闇の石棚山

  昨日、僕は友人と石棚山に登りに行った。石棚山は、(ウィキペディア先生によると)、丹沢山地の石棚山稜にある標高1,351mの山であり、神奈川県足柄上郡山北町内にあるそうです。グーグルマップで調べてみても、檜洞丸しか出てきませんが、とにかくその辺りに石棚山があります。

 まず東海道線国府津駅を降り、御殿場線に乗り換えて山北駅まで行く。そこから西丹沢自然教室行きのバスに乗りました。正直なところ僕は、西丹沢自然教室まで行くべきか、それとも玄倉で降りるべきか、よくわかりませんでした。結局、丹沢湖が綺麗だったので玄倉で降りました。

 最初は、静かな丹沢湖や綺麗な山の稜線を眺めながら川を沿うような形で歩いていました。川沿いでバーベキューを楽しんでいる人たちもいました。美味しいそうな肉の匂いに誘われつつも黙々と歩きました。2時間くらい歩いて石棚山の登頂口に着きました。その時点で、結構な疲労がたまっていて僕は帰りたく思ってました。というのも、前日、会社の飲み会でウィスキーとウーロンハイを飲み過ぎてしまって二日酔いだったからです。正直、山に登りに行くには最悪のコンディションでした。僕はいつだってそうです。富士山を登りに行った時だって、夜勤明けで26時間くらい寝ていませんでした。

 それは置いておいて、友達が「これからが本番だぞ。意地でも登ってやる」と言わんばかりの顔をしていたので、付いていきました。僕はずっと体育会系だったし、運動神経も体力も人よりは良い方だろうと思ってたのですが、山をナメていました。この山、石棚山と言われてるように岩がめっちゃあるんですよ。しかも、地盤がとてもゆるいので、小さな岩から大きな岩までゴロゴロと下に落ちていくんです。下、100m〜200mくらいまでゴロゴロと小さな岩が転がり落ちていくのを見たとき恐怖を覚えました。「あんなのに当たったら、ひとたまりもないぞ」と。

 恐いことは恐いのですが、傾斜も急で、しかも地盤が悪い。みるみる足の筋肉が疲労を起こしてきました。結局、僕は山頂付近で「もう無理だ。下山する。第一、もう4時を回っているじゃないか」と友達に提案しました。でも、その友人は頑なに「ここまで来たら山頂まで行く」と言って聞きませんでした。

 結局、僕は下山し、友人は山頂に行きました。その際、登頂口の近くにあったベンチで後で落ち合うことにしました。先に下山した僕は、ベンチに腰を下ろし、のんびりとベンチに座って待っていました。でも、その友人が一向に戻ってこないんです。「あれ、おかしいな」と思いました。ストップウォッチのタイムは1時間30分を回っていました。もしかして彼の身に何か起きたんじゃないかと思って、途中まで登ったのですが、彼はいませんでした。外はみるみる暗くなっていき、風も強く、闇が侵食してきました。伸ばした手が見えなくなるくらい暗く、僕は持っていたヘッドライトで道を照らしながら歩きました。

 彼を山に置いて帰るというのは、あまり許せたものではありませんでした。あと10分待ってダメなら降りよう、いや、あと20分待って来なかったら降りよう。そうやってズルズル1時間30分も待っていたわけです。で、渋々下山をしたのですが、玄倉のバス停に着くと彼から着信がありました。頭ははてなマークでいっぱいでした。「そもそも何で、お前が先に下山しているんだ???」と。

 バスの終電も終わっていたし、タクシーを呼んで帰りました。後部座席のシートにもたれながら、ぼんやりと外を眺めていました。段々と、怒りがこみ上げてきそうになるのを必死に抑えて、「まあ、山は結局、自己責任なんだ」と考えることにしました。誰が悪いわけでもない。何人いようが、山と対峙するのはたった一人の人間だけです。そう考えると、怒りも薄まってきました。

 でも、本当にそれでいいんだろうか?とも思えてくるのが不思議です。

終わり。

山と高原地図 丹沢 2016 (登山地図 | マップル)

山と高原地図 丹沢 2016 (登山地図 | マップル)