銀座にある昔ながらの洋食屋

母さんは「昔ながらの洋食屋でオムライスを食べてみたいわ」と言っていた。

ぼくはいま、銀座の洋食屋でオムライスを食べている。オムライスをスプーンですくって、口にいれる。スプーンを置き、ゆっくり味わう。

母さんが想像してる昔ながらの洋食って、こんな味なのだろうか、と考える。たぶんそうだ。でも、たぶんそうじゃないかもしれない。いまいち自信がない。

1人で黙々と食べていると、だんだん虚しくなってきた。目の前の空席には母が座っていたかもしれなかったのだ。心の中でしくしくと泣く。

母が元気だったら、連れて来たかった。