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さようなら、文鳥。

天気予報がこう告げていた。明日は関東広域に寒波が来て、とても寒い1日になると。真っ先に文鳥のことを考えた。暖かい地域に生息する鳥だから、日本のこの寒さはきっと堪えるだろうな、そんな思いを抱いたのだった。

仕事に疲れ、家のドアをあけるとうるさいくらいによく鳴いてぼくを歓迎してくれた。頭に乗り、肩に乗り、時々糞をし、目をつつき、唇を噛み、耳の中に頭を突っ込んだ。

夜寝つけず、起きると外は雪が降っていた。その雪の白さは、文鳥の純白な羽根を思わせ、ぼくの心を強く揺さぶった。文鳥は土の中で、寒い思いをして寝ているのだろう。そう思い、ぼくはハサミで布団の毛布を切り取り、穴を掘って、文鳥をすくいだし、優しく包んでやった。そして、また静かに土の中に埋め直した。

リビングに戻ると母は泣きながら鳥かごを洗っていた。それから、トイレを掃除し、風呂を洗い、布団を畳み、服を折り重ねていた。悲しくてじっとなんかしてられなかったのだろう。

もういないのに、瞼の裏には文鳥の姿が焼き付いていて、耳を閉じればぼくを呼ぶ声がする。悲しくてやりきれず、眠ることができなかった。失うことが多すぎて嫌になる。生き物を飼うというのは、こういった痛みも伴うのだなあと思った。

次の日の夜家に帰っても、バタバタ羽ばたかせて肩に止まりピーピー鳴き、お迎えしてくれることもないんだな、と思うとやるせない。これからなにを楽しみに生きていけばいいのか云々。つまり、もうおしまいだ。なにもかももうダメだ。

さようなら、ピー助。