ポール・オースター『幻影の書』

ポール・オースターの『幻影の書』をようやく読み終わった(ようやくって言うと、読み終わるのにどのくらいの時間が掛かったんだよ?となるんだけど、2週間です)。

主な登場人物はジンマー教授、アルマ、無声映画の俳優ヘクター・マン、スペリング夫人である。オースターの長編小説は『ムーン・パレス』以後遠ざかっていた。というのも、あまりにも面白くて、終わらないように読み進めていってしまうからだ。自然と読書のスピードは遅くなる。そして、読み終わった後は「もうしばらくは小説を読まなくていいな」という気分になる。というか、「もう少しこの物語に身を浸していたい」といった方がいいのか。

そんなこんなでこの小説を読み始めるのも、抵抗があったわけだけど、グッと引き込まれる書き出しで始まるのだから、先ほど言ったことなんて忘れてしまう。

無声映画の俳優ヘクター・マンは死んだものだと思っていた」こんな感じで小説は始まる。ヘクター・マンは何者なのか?彼はなぜ世から姿を消したのか?生きているのか?死んでいるのか?どうしてジンマー教授がヘクター・マンと関わりを持つようになったのか?

たった一行で、多くの疑問が生まれる。読者のこういった疑問の一つ一つに答えてくれるのが、オースターだ。読み進めていくうちに、「ああやっぱり、オースターは読者の期待を裏切らなかった!」となる。

幻影の書 (新潮文庫)

幻影の書 (新潮文庫)

次は『偶然の音楽』を読もう。